1 本市場の現状等
本市場は、市内及び周辺地域における生鮮食料品等の円滑な流通を確保するため、昭和28年に中央卸売市場として業務を開始し、取扱規模の増加に伴い、市場施設の移転や市場機能を高める施設改良等に取り組みながら、半世紀以上にわたり、市民の食生活を支える拠点としての役割を果たしてきた。
しかし、近年、卸売市場を取り巻く環境は、(1)少子・高齢化や核家族化の進展による食の外部化など消費者ニーズの多様化、(2)国内生産量の減少及び産地の直販事業の拡大、(3)量販店の台頭及び産地との直接取引の増加、小売業者の減少など、流通構造が変化し、流通形態が多様化しつつある。
こうした流通環境の激しい変化に伴い、卸売市場を経由する生鮮食料品の割合が低下し、卸売市場は全国的に厳しい経営を余儀なくされている。これに加え、近隣に大阪や神戸などの大規模な中央卸売市場が立地していることから、取扱高の減少は他市場に比べて大きく、極めて厳しい状況にある。
そのような状況のなか、平成16年の卸売市場法の改正、卸売市場整備基本方針において、卸売市場の再編基準が示され、本市場が再編基準に該当したことから、平成19年4月1日から再編方向の一つである地方卸売市場に転換を図ったものである。
地方卸売市場への転換に当たっては、相対取引の拡大や第三者販売の弾力化など、取扱高の減少をきたさぬよう、一定の措置を講じたところである。これを機に取扱高の回復や経営改善への取組の強化など、改めて市場の活性化に向けた取組を進めていく必要がある。
2 本市場の目指すべき4つの基本方向と提言の位置づけ
本市場は近年の取引の現状等を踏まえ、地方卸売市場への転換に当たり、「尼崎市公設地方卸売市場の今後の取組方向」(目指すべき市場)として、
- 生鮮食料品の安全・安心と安定供給を図る市場
- 魅力ある商品の集荷・販売による特色ある市場
- 消費者に情報発信し、親しみやすい開かれた市場
- 環境の変化に対応し、流通の効率化を図る市場
の4つの基本方向を定めた。
また今日、不正表示や産地偽装した食品の販売などの食の安全性を脅かす事件・事故の発生により、食の安全・安心に対する消費者の不安が高まり、卸売市場流通においても衛生管理の徹底や品質管理の高度化等の機能強化が求められている。
本提言はこうしたことを受け、当面、緊急に取り組むべき事項について、(1)食品の安全・安心の確保、(2)卸売市場の営業力の強化、(3)開かれた市場づくりをキーワードに取りまとめたものである。
3 提言の目標、期間、内容の構成
1 目 標
食の安全・安心の確保と流通環境の変化に対応した阪神地域の地域拠点 市場づくり
2 期 間
5年間(平成20年度から平成24年度)
3 内容構成 (緊急に取り組むべき事項についての具体的な取組内容)
(1)食品の安全・安心の確保
- [1]
- 品質管理の高度化の推進
- [2]
- 衛生管理等の徹底
(2) 卸売市場の営業力の強化
- [1]
- 卸売業者及び仲卸業者の連携
- [2]
- 多様な取引及び市場間連携等の推進
- [3]
- 地産地消の推進
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- 新たな広報媒体による市場PRの推進
- [5]
- 施設の利用促進
(3) 開かれた市場づくり
- [1]
- 食育事業及び消費者への情報発信の拡充
- [2]
- 新たな市民交流事業の企画