2014年8月の食材
2014年8月の食材【タチウオ(太刀魚)】

「太刀魚」は、スズキ目サバ亜目タチウオ科の魚で、タチウオ科には32種が知られており、日本近海では2種類のタチウオが漁獲されます。生息地は、世界中の温帯、亜熱帯に住む暖海性の魚で北海道から朝鮮半島、オーストラリア、大西洋に分布しています。日本近海では南日本や瀬戸内海に多く生息しています。南の海で越冬し、夏になると本州沿岸に北上し産卵します。水温が下がる晩秋頃から越冬のため再び南下します。
名前の由来は、魚の形が「日本刀」にそっくりで、海中で立ち泳ぎしながら上方の獲物に飛びついて捕食することからこの名前が付いたそうです。
大きな特徴として、体表に鱗(うろこ)がなく、代わりに銀色のグアニン箔(はく)で覆われており、この箔がはがれると死んでしまいます。昔このグアニン箔を集め、ガラス玉に塗り、模造真珠(イミテーションパール)を作っていたそうです。
タチウオは、小骨の多い魚ですが身は淡白な白身でとても美味しい魚です。一方で、八幡巻や高級蒲鉾の原料としても使用されています。八幡巻は愛媛県の八幡浜が有名です。
主産地
国内での主な産地は、愛媛県・大分県・和歌山県・広島県などですが、当市場の取引では兵庫県・愛媛県・和歌山県などで水揚げされたものが主に取引されています。
輸入物(冷凍)では、韓国・セネガル・イランなどから入荷があります。
選び方
目が澄み体表のグアニン箔がきれいについた鮮度の良い魚体を選ぶと良いでしょう。
グアニン箔がはげていると、鮮度不良の原因になります。
この魚の身は、水分が多く冷凍すると身はパサパサになるため、できることなら冷凍されていない物を選びましょう。
料理法、食べ方
鮮度の良い物は、刺身や昆布締めにして食べると美味しいです。
筒切りにしたものを塩焼きやソテー、フライ、から揚げにするなど、油やバターを使った料理に相性が良いです。また、醤油や味醂干し・一夜干しや蒲鉾、八幡巻きなど加工品も美味しいです。
仲買の目利き、おすすめ
選ぶときは、釣りで漁獲されたもので身が分厚くグアニン箔がきれいな魚を選んでください。
美味しい食べ方は、鮮度の良いものを酢で締めた「キズシ」か、皮を丁寧にひいて「刺身」で食べると美味しいですよ。また、煮付けたごぼうを串に刺し残った皮を巻き付け、打ち塩をしてうなぎのタレで焼き八幡巻風に仕上げると、酒のアテに最高ですよ!
協力:尼崎水産物卸協同組合
㈱極産 曲本 陸夫さん